高齢者と漢方

対策編

フレイルは「まだ元に戻せる段階」

近年、フレイルが注目を集めている大きな理由は、健康な状態に戻すのが可能な段階だから。介護が必要な状態になってしまうと戻すのは極めて難しくなりますが、フレイルの段階であればまだ間に合います。日常生活を見直すなど適切な対策をすることで、フレイルの進行に歯止めをかけられるだけでなく、健康な状態に戻すことも可能です。さらに健康な時からフレイル予防を意識した生活を心がけることで、健康寿命を延ばすことができるのです。

フレイル予防3原則は「栄養・運動・社会参加」

フレイル予防に有用とされているのは「栄養」「身体活動(運動)」「社会参加」の3つ。
高齢者は小食になりがちですが、低栄養に注意。たんぱく質が不足しないように注意しながら、バランスよく3食食べてエネルギーを確保しましょう。日ごろから歯と口の健康にも気を配り、しっかりと嚙んで飲み込める状態にしておくことも大事です。
フレイルのきっかけになりやすいサルコペニア(筋肉や筋力の衰え)を防ぐためにも、歩いたり筋トレしたりするなど適度な運動を続けましょう。
また、積極的に外に出て「人と人とのつながり」をつくることは、脳の刺激になるだけでなく、意欲の向上にもつながります。就労や趣味の活動、ボランティアなど自分が楽しめるものに取り組んでみましょう。

フレイル予防3原則は「栄養・運動・社会参加」

持病をしっかりコントロール

誰でも年は取りますが、老いのスピードは全員同じではありません。65歳ですでにフレイル状態になっている人もいれば、80代90代になってもフレイルになっていない人がいます。
早くフレイルになってしまう原因の一つは、高血圧や糖尿病、心疾患など何らかの持病を抱え、それをしっかりとコントロールできていないこと。持病の状態が悪いとまずます栄養状態が悪くなったり、動かなくなる、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなるなど、フレイルに歯止めがかからなくなってしまいます。持病の対策をしっかりと行い、ベースとなる心身をできるだけ良い状態に保つことが大切です。

持病をしっかりコントロール

監修医師

萩原 圭祐先生

大阪大学大学院医学系研究科 先進融合医学共同研究講座 特任教授

※2022年当時の情報となります

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