基礎知識

フレイルの予防

多くの人は、健康な状態からフレイルを経て、介護が必要な状態に移行します。健康なうちからフレイル予防を意識することが大切です。予防策のポイントは「栄養・口腔機能」「運動」「社会参加」の3つ。これらの予防策は、すでにフレイルになっている人の改善策と共通しています。

フレイル予防のポイント① 栄養・口腔機能

~低栄養に注意。たんぱく質を意識してバランスよく~

中年期は「太りすぎ」が重視されますが、高齢期はむしろ「痩せすぎ」に注意する必要があります。65歳以上の場合、適切な体格指数(Body Mass Index: BMI(kg/m2))は、21.5~24.9。BMIが低いほど、総死亡率が高い傾向があることがわかっています。高齢者は粗食でいいと思われがちですが、高齢者こそ体重が落ちすぎないように、エネルギーをとることが大切です。
まず、朝、昼、晩3食食べること。高齢になると1回の食事量が少なくなりがちで、1日1~2食では必要なエネルギー量を確保することができなくなります。規則正しく食事をとることで生活リズムが整い、活動量が増えて食欲が増す――という効果も期待できます。

フレイルの予防には栄養バランスの取れた食事も重要です。単品メニューや好きな食べ物だけに偏らないように注意して、できるだけ多くの食品をとるようにしてください。毎日最低でも4品目、できれば7品目以上の食品を食べましょう。

参照元:東京都福祉保健局

さまざまな栄養素をとる必要がありますが、フレイル予防で特に重視したいのは「たんぱく質」と「ビタミンD」です。
たんぱく質は、筋肉はもちろんのこと皮膚や内臓など体のあらゆる組織の原料であり、人間が活動するためのエネルギー源にもなっています。65歳以上の人が筋肉量を維持するために必要なたんぱく質は、体重1㎏あたり1日に最低1.0g。体重50㎏の人なら50g以上は摂るように心がけてください。たんぱく質が豊富に含まれている食品には、肉や魚、大豆、乳製品などがあります。鶏肉100gには約25g、とうふ100gには約5g、納豆1パック(50g)には約8g、牛乳1杯(180g)には約6gのたんぱく質が含まれています。
一方、ビタミンDは骨の発育に欠かせない栄養素です。ビタミンDが不足した状態が続くと骨粗しょう症をきたし、骨の強度が低下して骨折のリスクが高まります。筋力維持にも欠かせない栄養素ですが、日本人の場合、ほとんどが必要量を摂取できていません。ビタミンDが豊富な牛乳やきのこ、卵、魚などを意識して摂るようにしてください。
なおビタミンDは日光の紫外線を浴びることによって皮膚でも作られます。高齢になると自宅で過ごす時間が長くなりがちですが、日中、散歩や買い物、習い事、ボランティア活動など何らかの機会を作って外に出てみましょう。適度な日光浴ができますし、人と交流する機会も増え、さらなるフレイル予防につながります。

~オーラルフレイルにも注意を~

栄養をしっかりとるには、歯と口の健康にも気を配る必要があります。噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能の衰えは「オーラルフレイル」と言われ、放置した場合は死亡リスクが2倍以上になることがわかってきました。「固いものが食べづらくなって柔らかいものばかり食べている」「飲み物でむせる」「食べ物をのどに詰まらせたことがある」「滑舌が悪くなった」といった兆候があれば、注意が必要です。
日ごろから、口の中を清潔に保つ、定期的に歯科を受診する、口の体操をするといった対策を心がけましょう。

フレイル予防のポイント② 運動

筋肉量の減少や筋力の低下(サルコペニア)は、フレイルや介護に陥る大きな原因の一つ。適度な運動を継続することが、フレイル予防につながります。
フレイルの予防には、心肺機能を高め、体力、持久力の向上を促すウォーキングや水泳、水中歩行などの「有酸素運動」に、筋力トレーニングのような筋肉に繰り返し負荷をかける「レジスタンス運動」を組み合わせると効果的です。
自身の体調や体力に見合った運動を継続して行うことが大切です。自治体やスポーツクラブなどが開催しているフレイル予防の体操教室も活用しましょう。

フレイル予防のポイント③ 社会参加

外出して誰かと話をしたり、習い事をしたり、趣味の集まりやボランティア活動に参加するなど、「人と人とのつながり」をつくることは脳の刺激になり、意欲の向上につながります。

監修医師

秋下 雅弘先生

東京大学大学院医学系研究科 老年病学・教授
東京大学医学部附属病院 老年病科・科長


※2022年当時の情報となります

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